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大原千晴

アンティークシルバー物語

主婦の友社

10月23日発売

人物中心で語る銀器の歴史

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大修館書店
「英語教育」11月号

絵画の食卓を読み解く

連載第8回

英国19世紀ロンドン

ロードメイヤーの宴

 

不定期連載『銀のつぶやき』
第100回「アンティークシルバー物語」

 

2009/10/10 

気がつけば秋、なんと二ヵ月と二週間ぶりの更新です。

一部のお客様から「更新止まってますねえ……」というおしかりを受けました。でも、それには、理由あり、でした。

まもなく、一冊の新刊が発売されます。その準備に追われていたのです。私にとっては十年ぶりで、ようやく二冊目。長いインターバルがあったぶん、すごくいい本が誕生しました。

『アンティークシルバー物語』大原千晴
  主婦の友社、定価 \2,100-、10月23日発売

  イラスト:宇野亞喜良、写真:澤崎信孝

  

  

ここには、18人の実在の人物たちの、様々な人生の断面が描かれています。この18人を通して、銀器と食卓の歴史を語る。とてもユニークな一冊です。

インテリア雑誌『プラスワンリビング』(隔月刊)に「アンティークシルバーの思い出」として3年と二ヵ月連載されたものに加筆の上で、この一冊が誕生しました。

本書の大きな魅力は、宇野亞喜良さんの素晴らしいイラストレーションにあります。18枚の肖像画と表紙の帯そしてカトリーヌ・ド・メディシスの1564年の宴席をイメージとして描いて頂いたものが1枚で、計20枚。

私の書いた人物の物語を読んで、宇野亞喜良さんの絵を目にすると、そこに人物の息遣いが聞こえてくるほどです。来年弥生三月、弊店にてそのすべてを展示する原画展を開催する方向で、準備を開始したところです。

本書は三つの章から成り立ちます。第一章「宴席の銀器」、第二章「デザインの潮流と銀器」、第三章「銀器の作り手」。このそれぞれの章に、様々な実在の人物たちが登場するかたちで、物語は繰り広げられていきます。銀器の写真も沢山出てきます。そして最後に年表まで付いてます。

見て読んで楽しんで、気がつけば、歴史が目に見えてくる、そんな一冊です。以下に「はじめに」と題された前書きをそのまま掲載します。著者の思いは、この「はじめに」に込められています。

■「はじめに」(『アンティークシルバー物語』)

アンティークシルバーを語るにあたって、百科事典の解説のような話は、したくない。デザインの変遷、技法の変化、職人世界、デザイナー、そして、食卓マナーまで。こうした出来事を、一人一人の人間の足跡をたどることで表現してみたい。これが本書の原点です。合言葉は「人間に光を当てることで、銀器の歴史を語ってみよう!」です。

 18の物語を通して描くアンティークシルバーの世界。これまでめったに語られることのなかった人々の、その人生の一瞬をとらえることで、彼らが銀器の歴史に残した足跡を浮かび上がらせる。たぶん、世界で初めてのユニークな一冊です。

 銀器というモノの背後には、様々な人間たちの営みが秘められています。その昔ある時代を生きていた人間たちの息吹が感じられる話の数々。読むうちに、いつしか登場人物たちが身近に感じられてくる。そんな思いで人間ドラマを読むうちに、ヨーロッパの銀器の歴史が見えてくる。本書のめざすところです。

 登場人物は多彩です。ポルトガルからイングランド宮廷に嫁いできて苦労するお姫様、夫亡き後工房の切り盛りに必死の女性銀職人、過酷な宗教弾圧をのがれて亡命するユグノーの人々、ビクトリア女王の宮廷女官、大成功の後にゼロから仕事をやり直そうと試みる男、フランス宮廷にあって権力の中枢にいた皇太后、借金を重ねてルーブル宮をたたき出されてしまう女好きの遊び人、日本にほれ込みロンドンでデパートを創業した男などなど……話のタネは尽きません。すべて、銀器の歴史に足跡を残している人々です。

 ところで、食卓の話抜きには、ヨーロッパの銀器を語ることはできません。料理の話、お菓子の話、紅茶の話、そしてテーブルセッティングの話まで。ここには食卓をめぐる話が盛り沢山です。これを読めば、欧州の食卓が徐々に変化していく流れが掴めると思います。

 また、登場人物には時代を代表するデザインを生み出す原動力となった人々が、何人も含まれています。彼らの興味深い逸話を読むことで、流行のデザインが生まれ出た時代背景が見えてきます。巻末の年表をたよりに、個々のデザインや人物についての話が、一体いつ頃のことなのかチェックしてみるのも楽しいのではないでしょうか。

この一冊は、アンティークシルバー物語であると同時に、人生を格闘しながら生きていた、人間たちの物語です。

2009/10/10

■講座のご案内

 2009年も、様々な場所で少しずつ異なるテーマでお話させて頂く機会があります。また、この4月号から新たに雑誌の連載エッセイがスタートしました。

大修館書店発行の月刊『英語教育』で連載タイトルが「絵画の食卓を読み解く」。絵に描かれた食卓を食文化史の視点から読み解きます。ぜひ、ご一読を。

 というわけで、エッセイもカルチャーでのお話も、

「ヨーロッパの食卓の歴史的な変遷を、これまでにない視点から、探訪する。」が基本です。

 歴史の不思議な糸で結ばれた、様々な出来事の連なりをたぐり寄せてみる。そんな連なりの中から、食卓という世界を通して見えてくる、人々の社会と暮らしの面白さ。これについてお話してみたい。常にそう考えています。

詳しくは→こちらへ。