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大原千晴

アンティークシルバー物語

主婦の友社

10月23日発売

人物中心で語る銀器の歴史

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大修館書店
「英語教育」11月号

絵画の食卓を読み解く

連載第8回

英国19世紀ロンドン

ロードメイヤーの宴

 

不定期連載『銀のつぶやき』
第103回「松本のバッハと新そば1」

 

2009/11/24 

 11月15日(日)のお昼少し前に松本駅(長野県)に到着した。新宿から乗車した中央線は、八王子を過ぎるあたりから、山また山。紅葉が実に見事だった。列車を降りると、さすがに空気が清浄で、風が冷たい。もう、冬が、そこまで来ている、そう感じられた。

この時点から約27時間、松本市内に滞在した。その間に食事は四回。昼夜朝昼。そのうちの三回を私は、お蕎麦屋さんで食べた。到着してすぐのお昼は、ざるそば。これがおいしくてビックリ。

午後2時からは、めったに聴けない個性的な「講演会+音楽会」。そのあとは音楽会の関係者が集う打ち上げで、フランス料理店での立食パーティー。二千円の会費で、優に三千円分は飲んで食べたと思う。これもおいしかった。その後、音楽会の陰のプロデューサーであるYドクターの素晴らしいお宅で、リンゴとお茶。ここで最高のご馳走を味わうことになるのですけれど、それについては、音楽会のことと合わせて、改めて。

翌朝は、お蕎麦屋さんで「そばの朝粥」。これがなかなかオツなものでした。その昔、京都の瓢亭で食べたものと比べてもそん色ない味わい。というよりも、むしろそばの香りが新鮮な上に、値段は瓢亭の五分の一。早朝の「京」庭園と池に泳ぐ鯉を眺めることはできないけれど、通勤で駅に向かうオシャレな若い女性たちを眺めながらの「朝粥」は、鯉を眺めるよりも楽しいくらいだ。しょぼくれ親父たちの通勤姿は、池の底を這う亀かなんかだと思えば、それで済む。

朝粥で元気になった後は、一端ホテルに戻って荷物を整理して、チェックアウト。松本は2度目なので、市内中心部の名所はだいたい知っている。駅のコインロッカーに荷物を預け、観光案内所で案内地図を幾つか入手して、街歩きに出発。

ここは信州の小京都と言われるくらいだから、街は歩かなければ損だ。ただひたすら、歩いて、歩いて、歩く。途中川沿いに、古い引き戸のガラスがピカピカの、小さな大福屋があった。三種類の大福と団子が並べられていて、見るからに丁寧に作られ、それも出来たてらしいので、中に入ってみる。真っ白な清潔な上っ張りを着た、60歳くらいの女性が応対に出ていらした。

ちょっと迷って、結局いちばん当たり前の大福を選んで、ひとつ買う。百二十円だったと思う。店の外に出て、すぐに食べ始める。これが、すごく、おいしい。出来たての、ふわふわの大福。店の前の川は流量は多くないが、流れに勢いがある。江戸時代にわざわざ流れを城下に引き込んだものだと岸辺の解説にある。遠くに山並みが見える。お寺の屋根も見える。古い街並みが残っている。ちょっと観光化された、一見映画のセットっぽい「古い街並み」の部分もあるけれど、それはそれ、裏を歩けばまた別の顔も見えてくる。

やがて有名な松本城の脇にある市立歴史博物館に到着。前回見逃した場所で、今回はここをゆっくり見学した。夏祭りや、二月のどんと焼き、そしてお盆などに独特の習俗があり、その展示がとても興味深い。人形、手まり、竹細工。どれも繊細で美しい。周囲から隔絶した山国の、しかし高度な文化の集積が感じられる。

開智学校、旧制松本高校、そして、松本深志高校。人口僅か20万人ほどの山国の小都市に、尋ねるべき名所として学校が3つもあるというのも、この都市の文化水準の高さを象徴していると思う。

それから再び、街歩き。路地をあてどもなく歩き回る。やがて午後一時。ちょっとよさそうなお蕎麦屋さんがあったので、入ってみる。ここでは、鴨南蛮の「つけ麺」版とでも呼ぶべき「そば」を注文する。合鴨の入った濃い目の付け汁に、ざるそばが出てきた。これもまた、おいしい。

27時間に3回もそば屋で食事をして、新そばを思う存分堪能した。ひょっとすると冬に入る直前の今頃が、いちばんおいしい食べ頃なのかもしれない。帰りの列車に乗る前に、松本駅で野沢菜の漬けものとイナゴの佃煮を買う。再び見事な紅葉の続く車窓を眺めながら、外の景色が暗くなり、ウトウトし始めた頃、新宿駅に帰着した。

今回の松本行き、なにも新そばを食べるために行ったわけじゃない。「そばの話」は、実は、話のプレリュード。旅の目的は、バッハの『音楽の捧げもの』をテーマにした講演と音楽会を聴くことにあった……(次回へと続く)。

2009/11/24

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『アンティークシルバー物語』大原千晴
  主婦の友社、定価 \2,100-、10月23日発売

  イラスト:宇野亞喜良、写真:澤崎信孝

  

  

ここには、18人の実在の人物たちの、様々な人生の断面が描かれています。この18人を通して、銀器と食卓の歴史を語る。とてもユニークな一冊です。

本書の大きな魅力は、宇野亞喜良さんの素晴らしいイラストレーションにあります。18枚の肖像画と表紙の帯そしてカトリーヌ・ド・メディシスの1564年の宴席をイメージとして描いて頂いたものが1枚で、計20枚。

私の書いた人物の物語を読んで、宇野亞喜良さんの絵を目にすると、そこに人物の息遣いが聞こえてくるほどです。来年弥生三月、弊店にてそのすべてを展示する原画展を開催する方向で、準備を開始したところです。

2009/11/23

■講座のご案内

 2009年も、様々な場所で少しずつ異なるテーマでお話させて頂く機会があります。また、この4月号から新たに雑誌の連載エッセイがスタートしました。

大修館書店発行の月刊『英語教育』で連載タイトルが「絵画の食卓を読み解く」。絵に描かれた食卓を食文化史の視点から読み解きます。ぜひ、ご一読を。

 というわけで、エッセイもカルチャーでのお話も、

「ヨーロッパの食卓の歴史的な変遷を、これまでにない視点から、探訪する。」が基本です。

 歴史の不思議な糸で結ばれた、様々な出来事の連なりをたぐり寄せてみる。そんな連なりの中から、食卓という世界を通して見えてくる、人々の社会と暮らしの面白さ。これについてお話してみたい。常にそう考えています。

詳しくは→こちらへ。