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主婦の友社
「プラスワンリビング」

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アンティークシルバーの思い出

人物中心で語る銀器の歴史

連載第17回

アーチボルド・ノックス

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大修館書店
「英語教育」5月号

絵画の食卓を読み解く

連載第2回

15世紀フランス王族の食卓

 

不定期連載『銀のつぶやき』
第94回「彼岸の花」

 

2009/4/10 

 お彼岸のお墓参りに行きました。
 行ったお寺は、母方の菩提寺。境内は広く、例年お彼岸には30台前後の車がギッシリと並び、朝から一日中その出入りが続くという混雑となります。

 そのため警備会社から制服を着た数人のガードマンが派遣され、山門付近と境内で車の誘導整理に当たります。その他にも葬儀社もしくは出入りの墓石屋さんからの応援でしょうか、背広を揃いのジャンパーに着替えた3〜4人が、同じく車の誘導整理に当たるという、てんやわんやの状況が毎年見られます。

 今年は3月20日が春分の日で祝日。翌21日が土曜日でしたから、日曜日と合わせて三連休という方も多かったはず。お参りに行ったのは21日土曜日のお昼頃です。

 山門を通過して境内に入ったら、意外や意外、駐車している車は、たった3台しか見当たりません。ガードマン2人に応援の方々3〜4人が、これはもう明らかに手持無沙汰の様子です。お天気も良く、穏やかな日であったにもかかわらず、「参拝客が異様に少ない」と感じました。例年ならお彼岸の2日目でも、かなりの混雑なのに。

 このお寺からは、お彼岸のひと月ほど前になると、卒塔婆の申込書が送られてきます。それに記入して、お塔婆、回向料、墓地管理料等をまとめて事前に振替でお支払いします。お塔婆も数枚お願いすると、数万円になります。その他の費用も入れると、まあ、それなりの金額になりますが、毎年の御供養ですから。

 寺務所に行き、すでに本堂で御経を上げて頂いたお塔婆を拝領して、墓地へと向かいました。今年は都合4塔のお塔婆をお願いしています。再確認ですが、数万円です。

 さて、墓地に着いてみて、ちょっとビックリすることがありました。新しいお花が飾ってあるお墓でも、お塔婆が立てられているお墓が、目立って少ないのです。例年のお彼岸とは、墓地の様子が明らかに違っています。

 お寺にお塔婆を依頼することなく、花だけ飾って参拝を済ませた家が多い、ということになります。どう考えてみても理由は、ひとつです。「不景気」です。多くの家で今年は、お塔婆のお金を節約した。そうとしか考えられません。

 ひょっとすると、参拝そのものを「節約」した方もいらしたのではないか。駐車場の車の少なさといい、新しいお塔婆があまり見当たらない墓地といい、これじゃ、お寺さんも大変だろうな。いささか不謹慎な想像をしてしまったほどです。

 そして改めて、お花だけが飾られた墓地を見渡してみると、中に一か所、風情漂う一偶を発見。そこには、花屋さんの墓参用花束セットではなく、家から用意してきたらしい、珍しいお花が活けられていました。

 白い小さな花が一対、凛として風に揺れている。お花の心得が感じられる見事な風情に、心を打たれました。


 心得というのは、こういう形で活かされるとき、隠れていたものが形となって現れる。 そんなもんなんですよね、きっと。

2009/4/10

■講座のご案内

 2009年も、様々な場所で少しずつ異なるテーマでお話させて頂く機会があります。また、この4月号から新たに雑誌の連載エッセイがスタートしました。

大修館書店発行の月刊『英語教育』で連載タイトルが「絵画の食卓を読み解く」。絵に描かれた食卓を食文化史の視点から読み解きます。ぜひ、ご一読を。

 というわけで、エッセイもカルチャーでのお話も、

「ヨーロッパの食卓の歴史的な変遷を、これまでにない視点から、探訪する。」が基本です。

 歴史の不思議な糸で結ばれた、様々な出来事の連なりをたぐり寄せてみる。そんな連なりの中から、食卓という世界を通して見えてくる、人々の社会と暮らしの面白さ。これについてお話してみたい。常にそう考えています。

詳しくは→こちらへ。