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主婦の友社
「プラスワンリビング」

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アンティークシルバーの思い出

人物中心で語る銀器の歴史

連載第17回

アーチボルド・ノックス

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大修館書店
「英語教育」4月号

絵画の食卓を読み解く

連載第1回

15世紀フランス王族の食卓

 

不定期連載『銀のつぶやき』
第92回「懲りない二人」

 

2009/3/2 

    
 ムッシュかまやつ&森山良子のデュエット曲

懲りない二人』、いい雰囲気ですね。


 ムッシュ70歳記念アルバム『1939~Monsieur』に収められた一曲。最初聞いた 時「NHKみんなの歌」かと思いました。でも、よく聴いていくと……

 今回は「ごん狐、その2」のつもりでしたけれど、急きょ変更。この歌を聞いて思い 出すことがあったので。

 このアルバム、大半は昔のヒット曲ですね、70歳記念ですから。でも、『懲りない 二人』は違う。ムッシュ「今七十歳」の魅力が一杯です。この人昔から、雰囲気を表 現することに才能がある。時代の風をつかむ力ですね。

 でも、歌の聴きどころは、ただただ森山良子さんです。これはもう、圧倒的。彼女の DNAに刻み込まれているジャズ感覚がはじけ飛んでいる。

 「ザワワ」や「この広い野原」ではなく、彼女がジャズっぽい曲やアメリカ50年代 のスタンダード歌うと、ビックリするくらい輝きます。その一番いい面がここで全面 展開している。ベット・ミドラーも顔負けというくらい、思いっきり遊びながら、自由自在の表現力。久しぶりに彼女の凄い歌を聴いて思い出しました。

 もうウン十年も昔の思い出。そう、まだPPM(Peter , Paul & Mary)が人気があった中高生時代。当時、有明君と岡野さんの三人でトリオ組んでました。一生懸命にPPMのマネをして。スポーツマンで歌もギターも上手な有明君にいつも叱られて。

 放課後の教室や屋上で、「大原、ここ、そうじゃねえだろ。もう少し声出ねえのか?  しょうがねえなあ……」。お荷物でした。その頃のお話です。

 日曜日に新宿御苑で大学生のフォーク関連の小さな集いがある。そんな情報を岡野さ んが先輩から仕入れてきて、じゃあ三人で行ってみようということになったのです。季節は五月、さわやかな気持ちのいい日でした。

 行ってみれば御苑の片隅、少し木が茂っている木陰のような場所に五十人ほどが集 まっていました。多くの参加者がギターケースを抱えて。ちょっと派手目のお姉さま方は、髪をストレートに長く伸ばした方々が中心です。なんとなく、それぞれのグループ が数曲披露するって感じで、大学生アマチュアの発表交流会みたいなものだったのですね、きっと。

 五十人の半分が「出演者」で、残りの半分が「純粋の聴衆」です。それだって大半は 「出演者」の知り合い。僕らも同じようなもの。岡野さんがよく知っている先輩の大学生が、 たしか青学じゃなかったでしょうか、「出演者」の一員だったと思います。

 そこに、ギター一本持って森山良子さんもやってきたわけです。当時すでに東京のあちこちで開かれていたフォーク系のコンサートに出てらして、その歌声が話題になり始めてました。彼女がメジャーになる直前ですね。僕らは子供でしたけれど、バンドの参加者がみな大学生中心ですから、良子さん、ちょっと年上に見えました。すごく落ち着いていらして。

 ちょうど「この広い野原いっぱい」という曲が少し注目され始めた頃だったと思います。曲のキャンペーンでやっていらしたんだと思います。学生中心の集まりに。僅か五十人かそこらの公園での集まりに。

 その良子さんがギターケースを開けて、肩からギターを下げる。ちょっと調弦して、何気なく歌い始める。五月の風が爽やかで。御苑の緑が気持ちがよくて。そこに、森山良子の歌が流れ始めた。

 「この広い野原一杯…」そしたら、みんなシーンとなってしまった。それこそ水を打ったように。彼女の歌に打たれてしまったのです。歌の力、歌唱力の凄さです。要するに森山良子さんは、その頃から抜群だった。『懲りない二人』の素晴らしい歌を聴いて、そんな昔のことを思い出しました。

 ところで岡野さん、今どこで何してるんですか。もしこれ読んでたら是非連絡ください。あなたの素晴らしい歌声、僕は今も忘れられません。

 きょうのお話は、ここまで。

 面白いお話、出てこい。
 もっと早く、もっとたくさん。

2009/3/2

■講座のご案内

 2009年も、様々な場所で少しずつ異なるテーマでお話させて頂く機会があります。3月15発売の雑誌で新たに、連載がスタートします。これがちょっと意外な雑誌で、

辞書や語学教科書で有名な大修館書店発行の月刊

『英語教育』です。連載のタイトルが「絵画の食卓を読み解く」。絵に描かれた食卓を食文化史の視点から読み解きます。ぜひ、ご一読を。

 というわけで、エッセイもカルチャーでのお話も、

「ヨーロッパの食卓の歴史的な変遷を、これまでにない視点から、探訪する。」が基本です。

 歴史の不思議な糸で結ばれた、様々な出来事の連なりをたぐり寄せてみる。そんな連なりの中から、食卓という世界を通して見えてくる、人々の社会と暮らしの面白さ。これについてお話してみたい。常にそう考えています。

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