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主婦の友社

「プラスワンリビング」

7月7日発売号

「アンティークシルバー

の思い出」


銀器の歴史に秘められた
人間ドラマを語る連載第7回


今回の主人公はイタリア・ルネサンス期の激動を生き抜いた
マントヴァ候妃

イザベラ・デステ
極めて魅力的な女性です。


彼女の宮廷の面白さ、興味深い宴席の様子など、銀器文化の奥深い背景を訪ねます。

 

不定期連載『銀のつぶやき』
第58回「クールな関係」

2007/6/27


最近、ワケあって二十代半ばの若い世代と話す機会が多い。彼らはあまり「濃密な人間関係」は好まない。その一方で、心のつながりを求めて乾きをおぼえている。自分で自分を囲っておきながら、「他者としっかりとしたつながりを持てない自分」が淋しい。ちょっとワガママな世界。でも、まっただ中にいる彼ら自身は、けっこう悩んでいたりする。その意味では、妙に真面目なところも、ある。

彼らのコミュニケーションにケータイは欠かせない。番号とアドレスを交換するところから「つながり」が始まる。これさえあれば、日常的に「つながって」いることも可能だ。オジサンに比べればメールのやり取りは当然、多い。それにミクシィ。これで四六時中「つながる」ことができる。なのに相手の心が読めない。ひょっとして私たちって、ディスプレイ上のつながりだけかも、そんな不安が…。

「つながり」と言えば、会社支給のケータイを所持する男たちも少なくない。こちらは仕方なしに、つながっている。いや、つながれている。私も昔サラリーマン時代に常時、ポケベルを持たされていた時期がある。だから、会社支給のケータイを持たされる人の気持ちが、多少はわかる気がする。最近はGPSで現在地をサーチできるケータイも増えつつある。こうなると、もう、自分の居場所について、会社に「ウソ」はつけない。誠にお気の毒なことで。

人間と人間を結びつけるコミニュケーション環境は、この十年で長足の進歩を遂げた。それなのに、人間関係はますます希薄になりつつあると感じる。そう感じる人が増えている。なぜなのだろうか。手段が充実して心が通い合うはずなのに、反対に、心が遠ざかっていく。

人生、お金があるからといって、必ずしも幸せとは限らない。なんだか、それに似ているような気がする。現代の二十代半ばの世代は、我々の二十代時代に比べれば、はるかに経済的に豊かな時代を生きている。しかし彼らは、自分たちが豊かなのだという実感をみじんも抱いてはいない。

「夏休みにちょっとハバロフスクに行ってきます。」「私はハンガリーの田舎めぐりです」なんていうことも、さして珍しいことではなくなりつつある。一体全体、この広い世界を見渡してみて、二十代半ばの夏休みに、そんなセリフを言うことが可能な国々が、幾つ存在するというのだろうか。なのに彼らは、自分が貧乏だと思っていたりする。

先日、オジサン世代が集まって、居酒屋のハシゴをした。私にとっても十年ぶりの体験だった。若い世代とはコミュニケーションのスタイルが異なる。しかし、こちらでさえ、昔の雰囲気では、もはや、ない。何と言えばいいのだろうか、若い世代とは、またちょっと異なる「淋しさ」というか「人恋しさ」というか、そんな風を感じた。

これが「今」という時代の風なのかもしれない。

でも、時代の風なんて、ある時突然、ぱっと変わる。もう、そろそろかもしれない。だから、再び人間が熱くなる時代が来る、と密かに信じている。

きょうのお話は、ここまで。

面白いお話、出てこい。
もっと早く、もっとたくさん。

2007/6/27

■講座のご案内

いろいろな場所で少しずつ異なるテーマでお話させて頂く機会があります。話の内容は様々ですが、基本テーマは一つです。

「ヨーロッパの食卓の歴史的な変遷を、これまでにない視点から、探訪する。」

歴史の不思議な糸で結ばれた、様々な出来事。銀器という枠を越えて、食卓という世界を通して見えてくる、人々の社会と暮らしの面白さについて、お話ししたいと考えています。

詳しくは→こちらへ。